夫婦で住宅ローン減税を利用するのに知っておきたいポイント

共働きの夫婦が増えるにつれて、住宅も夫婦の共有で購入される方が増えてきました。

では、夫婦共有で住宅を購入した時に住宅ローン減税の控除を夫婦共に受けることは可能なのでしょうか?

先に結論を申し上げると夫婦共に住宅ローン減税の控除を受けることは可能です。

但し、夫婦で住宅ローン減税の控除を受ける際には、注意点がいくつかありますのでまとめていきたいと思います。

住宅ローン減税の控除の適用条件と夫婦で受ける際の適用条件

住宅ローンシュミレーション

夫婦で住宅ローン減税の控除を適用するには、基本となる住宅ローン減税の控除の7つの適用条件に加えて、夫婦で受ける際の追加適用条件があります。

住宅ローン減税の控除の7つの条件
  • 住宅の取得等にかかるローンであること。
  • 返済期間が10年以上であること。
  • 床面積が50㎡以上であること。
    共有持ち分の面積ではなく、建物全体の面積で判断する。
  • 床面積の50%以上が適用者の居住用であること。
  • 住宅を取得した日から6ヶ月以内に居住を開始し、引き続き控除適用年の12月31日まで居住していること。
  • 控除適用年の合計所得金額が3,000万円以下であること。
  • 適用を受ける年の翌年3月15日までに所得税の確定申告をすること。

夫婦ともに住宅ローン減税の控除を受けるためには、

夫婦で住宅ローン減税の控除を適用する為の条件

上記の7つの条件にプラスして

  • 夫婦共有名義である(それぞれの持分で登記がされている。)
  • 住宅ローンがある:夫婦ともに住宅にかかる借入金があること。

の合計9つの条件をすべて満たさなければなりません。

1.住宅の取得等にかかるローンであること。

住宅ローン控除は、名前の通り適用の前提条件として住宅ローンを組んでいることが条件になります。

つまり、現金で購入する場合は、対象にはなりません。

また、勤務先からの無利子や0.2%未満の借入、親族や知人からの借入は対象外になります。

現金で購入できる方でも、住宅ローン減税の控除の還付を受けるために住宅ローンを組まれる人もいます。

返済期間35年で借り入れをして、返済期間が10年を終わった段階(住宅ローン控除期間の終了)で繰り上げ返済されます。(現在では、控除期間が3年間延長されていますので、13年が終わった段階ですね。)

返済期間を35年で計画されるのは、住宅ローン減税の控除が年末のローン残高を基準に計算される為、控除期間中は、残高が多い方が、控除される額は高くなるからです。

2.返済期間が10年以上であること。

住宅ローン減税の控除の適用を受けるには、返済期間が10年以上であることが条件になります。

ここで注意が必要なのが、住宅ローン借り入れ後、繰り上げ返済をされた場合です。

繰り上げ返済には、返済期間の短縮と毎月の返済金額を少なくする方法がございます。

返済期間を短縮された結果、返済期間が10年未満になった場合は、住宅ローン減税の控除の適用を受けることが出来なくなってしまいます。

返済期間については、注意が必要です。

3.床面積が50㎡以上であること。

建物の大きさにも条件があります。床面積が50㎡以上必要になります。

床面積については、夫婦共有の持分に対しての面積ではなく、建物全体の床面積になります。

例えば、建物の床面積が80㎡で、夫婦の持分がそれぞれ半分ずつとした場合、それぞれの持分の面積で考えると40㎡ずつになり、条件の50㎡未満になってしまいますが、建物全体の面積は、80㎡で条件の50㎡以上になりますので条件を満たすことになります。

4.床面積の50%以上が適用者の居住用であること。

住宅を事務所や店舗として併用している場合、居住用部分が床面積の50%以上必要になります。

5.住宅を取得した日から6ヶ月以内に居住を開始し、引き続き控除適用年の12月31日まで居住していること。

原則として住宅を取得した日から6ヶ月以内にその住宅に住み始めて、住宅ローン減税の控除を適用する年の12月31日まで居住していることが必要になります。

6.控除適用年の合計所得金額が3,000万円以下であること。

控除適用年の合計所得額が3000万円を超える場合、住宅ローン減税の控除を適用することが出来なくなってしまいます。

合計所得金額には給与所得だけでなく、株式などの金融資産の売買で得られた所得や退職金などの所得も含まれるので注意が必要です。

また、合計所得金額が3,000万円を超える年分については、住宅ローン減税の控除の適用を受けることはできませんが、3,000万円以下の年分については、受けることができます。

7.適用を受ける年の翌年3月15日までに所得税の確定申告をすること。

住宅ローン減税の控除の適用を受ける年の翌年の3月15日までに所得税の確定申告が必要になります。
(今年は、コロナウイルスの影響で、4月15日まで延長しています。)

8.夫婦共有名義である

夫婦それぞれの土地・建物の持分割合に応じて住宅ローン減税の控除の割合が決まります。

そして、持分割合は、所有権の登記がされる時に決まります。

つまり、所得税の確定申告をする時に、住宅ローン減税の控除の割合などを検討しても遅いのです。

共有で住宅ローン減税の控除適用する為に持分割合を決定時期は?

土地・建物の所有権の登記をする時

共有で住宅ローン減税の控除を適用する場合の持分割合の例

  • 物件価格:4000万円
    夫の住宅ローン負担額:2500万円
    妻の住宅ローン負担額:1500万円
  • 持分割合
    夫の持分:50%
    妻の持分:50%

上記の場合、住宅ローン減税の控除の適用額は、『所有権の持分割合』で決まる為、

夫の住宅ローン減税の対象金額:2000万円

妻の住宅ローン減税の対象金額:2000万円

になります。よって、夫は、実際の住宅ローン負担額2500万円に対して、控除に認められる額は、2000万円。妻は、住宅ローン負担額1500万円に対して、控除に認められる額は、1500万円になります。

総額4000万円の住宅ローンに対して、住宅ローン減税の控除に認めらる総額は3500万円にしかならないのです。

つまり、住宅ローン減税の控除の対象金額が減ってしまい、損をする可能性があります。

連帯債務で住宅ローン減税の控除を適用する場合は、夫婦間の所有権の持分割合を登記する前までに、どういう割合にするのか、しっかりと検討しましょう。

9.住宅ローンがある:夫婦ともに住宅にかかる借入金があること。

夫婦それぞれで住宅ローンの債務者でなければなりません。

ですので、夫婦で住宅ローン減税の控除を適用するには、連帯債務若しくはペアローンである必要があり、連帯保証人では適用されません。

連帯債務とペアローンの違い
  • 連帯債務:夫の収入と妻の収入を合算して、連帯債務で住宅ローンを組む。
    (金銭消費貸借契約数は1本)
  • ペアローン:夫と妻それぞれ単独債務で住宅ローンを組む。
    (金銭消費貸借契約数は2本)

持分割合によっては、贈与税が加算されることも

贈与税

夫婦共有で住宅ローン減税の控除を適用する場合に注意点がございます。

それは、それぞれの持分と費用の負担額が異なる場合です。

先程の例に戻りますが、物件価格4000万円に対して、妻の持分50%(2000万円分)、負担額1500万円の場合、差額500万円に対して、夫婦間で贈与があったものとみなされ、贈与税が課せられる場合があります。

夫婦それぞれの持分は

資金の負担額≠登記上の持分ではなく資金の負担額=登記上の持分とするのが良いでしょう。

正しい持分の考え方

資金の負担額=登記上の持分

もし税務署から贈与税についての連絡が入った場合

もし、上記の例のような状態になり税務署から贈与税についての連絡が入った場合、「資金の負担額」と「持分割合」について、つじつまが合う説明が出来れば、贈与税を回避することが可能です。

つまり、贈与税の対象となるかどうかは、税務署から「お尋ね」があった場合の回答次第というわけです。

所得税と住民税の合算額を年収別一覧

住まい計画

住宅ローン減税の控除額が一体どれ位になるのかを年収別にまとめています。

年  収 税金(所得税と住民税)
200万円 12.2万円
220万円 14.2万円
240万円 16.2万円
260万円 18.1万円
280万円 20.0万円
300万円 22.0万円
320万円 24.1万円
340万円 26.0万円
360万円 28.0万円
380万円 30.2万円
400万円 32.4万円
420万円 34.7万円
440万円 37.2万円
460万円 40.1万円
480万円 42.8万円
500万円 46.1万円
520万円 48.8万円
540万円 52.0万円
560万円 54.7万円
580万円 57.9万円
600万円 60.6万円
620万円 63.3万円
640万円 66.6万円
660万円 70.2万円
680万円 75.7万円
700万円 80.1万円
720万円 85.6万円
740万円 90.0万円
760万円 95.5万円
780万円 100.6万円
800万円 105.7万円
820万円 111.1万円
840万円 116.2万円
860万円 121.7万円
880万円 126.7万円
900万円 132.1万円
920万円 137.6万円
940万円 142.6万円
960万円 148.0万円
980万円 153.0万円
1000万円 158.5万円

近い将来仕事を辞める場合は注意が必要

提案

確かに、夫婦共働きの場合、どちらか一方が住宅ローン減税の控除を利用するより、夫婦で利用した方がお得になるケースが多いです。

しかし、もし10年(現行13年)以内で、育児や会社都合で、夫婦のどちらか一方が仕事を辞めてしまった場合、所得がなくなる為、住宅ローン減税の控除を受けることが出来なくなります。

そして、住宅ローン控除の割合は途中で変更できない為、住宅ローンの借り換えで、仕事を続けている方に上乗せも出来ません。

住宅ローンの借り換えとは

より良い金利条件などで住宅ローンが組める他の銀行乗り換えること

一度決まった住宅ローン控除の割合は途中で変更することができません。

そもそも、どちらか一方に数年で仕事を辞める予定があるのであれば、住宅ローン減税の控除だけでなく、ローン自体ももう一方の収入で返済できるのか綿密に資金計画をしなければいけません。

すまい給付金も共有名義で多く貰える!?

お金

消費税が10%になり、すまい給付金の基礎額及び給付対象者も拡張されています。そして、共有名義で取得したときには、持分割合に応じて夫婦それぞれで申請することが出来ます。

夫婦それぞれで給付申請をした結果、単独申請よりも給付額が増えることがあるので、しっかりと覚えておくようにしましょう。

消費税10%時 住宅ローンを利用する場合(2019年10月~)
収入額の目安 所得割額の目安 給付基礎額
450万円以下 7.60万円以下 50万円
450万円超~525万以下 7.60万円超~9.79万円以下 40万円
525万円超~600万以下 9.79万円超~11.90万円以下 30万円
600万円超~675万円以下 11.90万円超~14.06万円以下 20万円
675万円超~775万円以下 14.06万円超~17.26万円以下 10万円

例えば、所得額が630万円の人が申請した場合。給付基礎額が20万円になります。

ですが、夫の所得が630万円で妻の所得400万円、持分はそれぞれ50%で考えた場合、

夫の給付基礎額:20万円×50%=10万円

妻の給付基礎額:50万円×50%=25万円

合計35万円となり、単独で申請した場合に比べて、15万円多くなります。

すまい給付金は、ローン減税と違って当初1年目だけですが、住宅ローン減税の補助としてもらえる支援になります。

住宅ローン減税やすまい給付金は、うまく利用することで、住宅ローンの負担を少しでも軽く出来るよう考えていきましょう。